会社経営豆知識 |
会社におけるセクハラに対策を講じなければならないか |
質問内容 |
私は製造業の会社を経営しているものです。 近年は新卒も雇う様になり、女性社員も増えてきました。そのためセクハラやパワハラのない男女雇用機会均等を目指した会社作りをしたいと考えていました。 しかし、注意していたはずなのですが女性社員の一人が直属の上司からセクハラを受けているからなんとかしてほしいと相談してきました。 社長の私自身も同じフロアにいるのでセクハラらしいものはないと思うのですが、会社としては何かする必要があるのでしょうか。 |
回答 |
○要点 ・セクハラかどうか。 ・セクハラであった場合、放置しているリスク(男女雇用機会均等法) という点が問題になるかと思います。 ○セクハラとは 「相手の意思に反して不快や不安な状態に追いこむ性的なことばや行為」を指します。 質問者様が、被害者である女性社員と加害者とされる上司の行動を見ている限りセクハラはないと判断している様ですが、わかりにくいセクハラが会社においてはあるので、具体例に該当しないかお考えください。 具体的には ・おしりを触る行為。 ・胸を触る行為。 ・性体験について執拗に尋ねる行為。 これらがセクハラに当たるということは、通常認識出来る範囲かと思われます。 会社におけるセクハラというよりも男女間でこのような行為が許されるとは考えにくいのではないでしょうか。 ・職場に水着写真を貼る、飾る行為。 ・性的魅力をアピールするような服装などを要求する行為。 これらも会社におけるセクハラに該当します。 職場に水着写真を張る行為は一見すると、上司などが女性社員に対して何らかのアクションを起こしているわけではないため、セクハラに該当しないように思えるかもしれませんが、相手が不快に思う性的なことは広い範囲で認められると考えた方がいいでしょう。 下記の発言 ・きれいだね ・君のお茶おいしいよ ・Aちゃん ・電話番号と携帯教えて ・髪型かえた? セクハラにあたります。 普通の会話のように聞こえますが、女性と認識しているような発言はセクハラに当たり得るということです。 ○注意点 ・現状では、セクハラは被害者の「主観」によって決められる場合が多いため、些細なことを「セクハラだ」と騒がれている可能性もあります。 ・行為がセクハラとなるかどうかは、相手との関係で決まります。 例えば、 ・Bさんに、肩にずっと手を置かれて心底喜んでいる女性がいます。この女性とBさんの間ではセクハラはありません。 ・しかし、挨拶程度で上司のCさんが肩に手を触れたら行為をセクハラと言われてしまう場合があります。 セクハラの主たる原因の一つには、潜在的な女性への差別があります。 質問者様は、男女雇用機会均等を目指した会社作りを目指すということなので、対等な仕事上のパートナーとして従業員が行動しているかどうかを考えてみてください。 ○会社におけるセクハラのリスク セクハラを放置すれば、会社にとっても、大きな責任が生じることを認識してください。 ・不法行為責任 従業員(上司含む)が職務の執行につき第三者に損害を与えた場合、使用者である会社に使用者責任として、損害賠償責任を負うことになります。 職場のセクハラである場合、「職務の執行につき」第三者に損害を与えたと判断される場合が多いといえます。 ・債務不履行責任 会社は、雇用契約に基づく付随義務として、従業員に対して快適な環境を提供する義務があります。 そのためセクハラを認知したにもかかわらず、放置した場合には、この義務違反として、債務不履行責任を負うことがありえます。 ・会社名の公表 男女雇用機会均等法にて、会社にセクハラ防止に関する措置義務が科されました。 対策をせず、勧告にも応じない場合、会社名が公表されます。 あくまで会社側のリスクのみを列挙しましたが、加害者(わかりやすくいうと上司)の生活や被害者の生活の破綻も最悪の場合ありえます。 そのため、大きな紛争になる前に対策を講じることがいいと考えられます。 そして、セクハラという問題は、セクハラに本当に該当するかなど難しい問題が含まれています。 会社におけるリスクを最小限にするためにも、紛争予防に自信のある専門家に相談することがよいでしょう。 |
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