会社経営豆知識  
 

残業・深夜勤務・休日勤務に該当する条件と割増金額について

質問内容
従業員を雇用する際、残業等の支払金額を考慮して、給与を決定したいと考えています。
残業・深夜勤務・休日勤務に該当する条件と、割増金額について教えていただけますでしょうか。


回答
2つの段階を経てご説明させていただきます。

・残業・深夜勤務・休日勤務に該当する条件と割増金額について

 「法定労働時間」を超えた場合に割増金額を支払わなければなりません。
 「法定労働時間」とは労働基準法で定められた労働時間の上限のことで、1日8時間、1週間40時間です。

 つまり、会社の所定労働時間が7時間で8時間労働させた場合、1時間については通常の賃金は発生しますが、
 割増金額は発生しません。以下は割増金額が発生する場合分けです。
 25%以上から75%以上を必須とするものまであります。

 【原則】25%以上

 【1月60時間超】50%以上 ※中小事業主様の場合、猶予措置があります。
  <小売>   「常時使用労働者数50人以下」または「資本金か出資の総額が5千万以下」
  <サービス業>「常時使用労働者数100人以下」または「資本金か出資の総額が5千万以下」
  <卸売業>  「常時使用労働者数100人以下」または「資本金か出資の総額が1億以下」
  <その他>  「常時使用労働者数300人以下」または「資本金か出資の総額が3億以下」
 
 【休日労働】35%以上   休日とは「法定休日」のことを指します。
  「法定休日」とは労働基準法で定められている、労働者に与えなくてはならない休日のことです。
  少し言葉が複雑の様にも感じますが、大切なことは週休2日に対して1日だけ休日出勤させても、
  週40時間を超えた労働時間に対する25%以上の割増賃金の支払で足ります。
  (35%以上の割増賃金の支払は不要ということです)
  
  35%以上の割増賃金は、その会社の所定休日労働に対して支払うものではなく、
  法定休日労働(1週1日又は4週4日の休日が取れなかった場合)に対して支払うものだからです。
  
  
 【深夜労働】25%以上 深夜労働とは午後10時〜翌午前5時の労働のことです
 【休日+時間外労働】35%以上
 【時間外+深夜労働】50%以上「時間外(25%)+深夜(25%)」
 【休日+深夜労働】 60%以上「休日(35%)+深夜(25%)」
 【1月60時間超+深夜労働】75%以上「1月60時間超時間外(50%)+深夜(25%)」

 労働者とのトラブルで残業代の支払い請求は多いです。
 トラブル処理で時間を割かれることや、会社の信用を守るためにも残業代を正確に把握し、支払うことが必要です。


・残業等の支払金額を考慮して、給与を決定したい場合について
 まずは割増金額の計算の基礎を把握しておくことが必要です。

 家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、
 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
 
 上記の項目については基本的には割増賃金の計算の基礎からは除外されますが、
 状況によって割増賃金の計算の基礎に含めなければならない場合があります。
 
 【例1】
 住居手当や家族手当であっても、以下のような場合は残業代の計算の基礎となります。
 
 「賃貸の人は○○円、持ち家の人は○○円」
 「扶養家族がある場合○○円、ない場合○○円」
 「全員に○○円支給」
 
 これらの考え方は実質的に個人的事情かどうかと考えるとわかりやすいかもしれません。
 
 【例2】
 年棒制における賞与部分
 臨時に支払われた賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金のどちらにも該当しないため
 割増賃金の計算の基礎に含めなければなりません。
 
 
この辺りをいい加減にして、残業代を支払ってしまっている場合、
不足していれば、後に支払いを請求される場合もあります。 適正な割増賃金の把握が出来ていれば余計に払ってしまうということもありません。

貴社の将来像を見据えたうえで給与形態を決定することをおすすめします。